心臓が悪いと言われたら?
健康診断やワクチンの時などに、
「心臓に雑音がありますね。」と
言われることは、特に高齢のワンちゃんでは
あまり珍しくないことです。
ネコちゃんでも心臓の雑音が聴こえる子もいます。
※ネコちゃんの場合、聴診で雑音が聴こえなくても心臓病がある場合もあります※
心臓というのは血液を送る「ポンプ」の役目をしている
とよく説明されますね。
心臓は主に筋肉で作られている臓器ですが、
血液を逆流させないための「弁」がうまく働かなくなったり
また心臓の筋肉自体が薄くなりすぎたり、厚くなりすぎたり
と一言で「心臓が悪い」といっても、様々な病態があります。
また、心臓病は専門的な病院で外科手術をしない限りは
「治す」ことの難しい病気です。
症状が悪化していかないように、上手にコントロールすることが大事です。
★心臓の検査とは★
【胸部レントゲン撮影】
心臓の大きさや肺の状態を確認します。
心臓病が進むと肺に水が溜まる「肺水腫」という状態になることがあり
命に関わる危険な状態となりかねませんので、肺のチェックも重要です。
また、心臓が大きくなることで気管を圧迫して「咳」が出るようになることもあります。
【超音波検査】
こちらはさらに詳しく、心臓の中の弁の状態や筋肉の状態を確認する検査です。
例えば心臓の中に大きな血栓ができていないかなどもチェックできます。
血液の流れや逆流、心臓の動きなども動画で確認ができます。
超音波検査にはある程度の時間がかかり
なおかつ嫌がる子には休憩を挟みながら進めていきたいため、
数時間お預かりして検査をすることが多いです。
【血液検査】
心臓の筋肉がどの程度損傷しているのか、を測定する検査です。
こちらは外注検査となりますので、結果は後日となります。
この検査はオプションとして健康診断にもつけることが出来ますので
経時的な変化を見ていくために、
1年に1~2回の健康診断時に一緒にお願いしてしまうのも良いでしょう。
【血圧測定】
血液の流れを司る心臓ですので、
全身の血圧の状態を把握しておくのはとても重要なことです。
高血圧は心臓の障害に悪影響を及ぼすこともありますので
心臓病がある程度進んだ子は、血圧も測定していきます。
ワンちゃんやネコちゃんの「1年」は人間の「4年以上」に相当します。
3~4ヶ月に1度の定期的な心臓検査をお勧めいたします。
★普段の生活の中で気を付けたいこと★
【咳】
心臓の病気は、呼吸とも密接な関りがあります。
気管の圧迫や肺への負担で咳が出ることがありますので、要チェックです。
【呼吸数】や【心拍数】
心臓が速く動いている状態は、心臓へ負担がかかっている状態です。
できれば簡単な聴診器などで、ご自宅で心拍を測っていただきたいのですが
いきなり飼い主様が聴診器を持ってきたら、それだけでドキドキしてしまいがち。
心拍数を測るのには、ゆっくりと時間をかけて慣らしていってあげてください。
安静時に呼吸数を数えるのは、胸の動きを見ることで可能ですので
まずは呼吸数を測るようにしていきましょう。
安静時にも1分間に40回以上の呼吸数があるときは要注意です!
【食事】
塩分濃度の高い食事には、血圧を上げて心臓へ負担がかかります。
低塩分なフードを選ぶよう気を付けましょう。
また、オヤツなども塩分の少ないものを選んであげましょう。
【舌の色】
健康な時のピンク色をしっかり覚えておきましょう。
血液の流れが悪い状態だと、その色が白っぽくなったり
紫っぽくなったりと変化します。
【運動や気温差】
軽い運動は勿論必要ですが、過剰に激しい運動はやはり心臓へ負担となります。
また、急激な暑さや寒さなども血圧を大きく変化させるため
心臓病では気を付けてあげたいところです。
★治療★
心臓病の治療は、主に「内服薬」を続けていくことになります。
お薬を飲めることは非常に重要となってきますので、
健康なうち、またまだ投薬が必要でない時期から
投薬が出来るようにご自宅で練習をおこなってください。
病態によっては何種類かの薬を併用することもあります。
心臓病は上手く付き合っていけば、何年も維持することも出来る病気です。
定期的な検査、適した治療をおこなうことで上手にコントロールしていきましょう。