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【診療時間】9:00~12:00 / 16:00~19:00
※水曜、祝日午後は休診。

症状別症例紹介

脾臓破裂(ひぞうはれつ)

種類
症状
お腹が張っている/ぐったりしている/元気がない/舌が白い
病気
緊急性の高い病気/腫瘍

「脾臓」という臓器をご存知ですか?

あまり聞きなれない臓器かと思います。

肝臓や腎臓、最近では膵臓の病気も多く知られるようになり

血液検査でも「この値は肝臓、この値は腎臓の・・・」

と説明されることがありますが

「脾臓」は血液検査の項目には出てきません。

 

「脾臓」は簡単にまとめると、

古くなった赤血球を処理したり、血球を貯蔵したり

免疫を助ける役割を持っています。

 

はたらきの特性上、脾臓は多くの血液を含んだ臓器です。

血液が多く運ばれる臓器であるため、

腫瘍が転移を起こしやすい臓器でもあります。

また脾臓は、「血管肉腫」という腫瘍の好発部位でもあります。

 

脾臓の腫瘍は大きく成長すると、破裂することがあります。

血液を多く含んだ脾臓が破裂すると

お腹の中で大量出血を起こし

一気に貧血、出血性ショックを起こして死に至る場合があります

腫瘍の他にも、外傷感染症が原因で

脾臓が損傷する場合もあります。

 

脾臓は先にも書いた通り、血液検査では異常を

察知することが難しい臓器です。

脾臓に腫瘍や過形成があるかどうかは、

超音波検査をおこない、臓器を画像診断する必要があります。

また、腫瘍があったとしても症状として現れることは稀です。

小さな損傷が何度も起こっている場合には

慢性的な出血による「貧血」が現れる場合もありますが

新しい血液は正常に作られているので、

貧血が解消されれば見かけは普段通りの状態に戻ります。

そうやって小さな出血を繰り返しながら

腫瘍が大きくなり、命に関わる大出血を起こす可能性があるのです。

 

ワンちゃんが急にぐったりと元気がなくなった場合

まずは口の中を確認してください。

お腹の中の大量出血は、見た目では分かりませんが

急激な貧血がある場合には

口の中の粘膜(舌や歯茎)の色が白っぽくなります。

※循環不全でも白っぽくなりますので、必ず貧血が起こっているわけではありません。

大量出血はショックを引き起こし、命に関わりますので

一刻も早く病院にかかることが重要です。

 

お腹の中の出血が認められた場合、

迅速な外科手術で出血を止める必要があります。

脾臓という臓器は手術で取り除いてしまっても

骨髄などが代わりのはたらきをしてくれるため

問題はありません。

出血がひどい場合には輸血が必要になるときもあります。

出血の原因が「血管肉腫」など悪性の腫瘍であった場合には

術後に転移している可能性なども考えなくてはなりません。

 

脾臓はなかなか検査しにくい臓器です。

特に高齢になったら、お腹の中の超音波検査などで

異常がないかをチェックしておく必要があります。