アポキルを飲んでるわんちゃんに読んで欲しいマラセチアのお話
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意外と見落とされがちな病気
『マラセチア性皮膚炎』
アポキル(痒み止め薬)を飲んでいても痒い場合は要注意!
というお話です😊
ワンちゃんの皮膚病といえば、
細菌が原因の膿皮症 と
カビの一種が原因のマラセチア性皮膚炎
を非常によく見かけます。
この2つの病気を診ない日はありません。。
今回はそんなマラセチア性皮膚炎のご紹介です。
マラセチアは皮膚の常在菌であり
少量存在することは正常なのですが、
増殖すると赤みや痒みの原因となります。
(掻き動作が続くと皮膚が黒ずんでくることも…)
皮膚が擦れる脇や内股、手先足先に増殖しやすく
皮膚病で一般的に使われる抗生剤では治りません。
マラセチアはカビの一種なので、カビに対する治療が必要になってきます。
以下では痒みのレベルを10段階で評価しています。
0は痒みなし
声掛けしても止められない痒みは5以上
10は食事中や睡眠中、散歩中も痒いレベルです。
症例①アメリカンコッカースパニエルMix 8歳 去勢オス
アポキルを飲んでいても痒みが続く。
常時エリザベスカラーをして生活している。(痒みスコア8/10)
痒いため耳を振ってしまうので、耳の先端から出血していた。
皮膚科所見:皮膚スタンプ検査にて大量のマラセチアを検出
治療プラン:アポキルは一旦休薬。マラセチアに対して薬用シャンプー及び外用薬処方。
1ヶ月後…痒みスコア4/10に減少。耳の出血もなくなりました🙂
2ヶ月後…痒みスコア1〜2/10に減少。アポキルは休薬のまま、エリザベスカラーを外すことができました✨
アポキルは非常に優秀なお薬ですが、一部の免疫抑制効果もあるため、
マラセチアや細菌の繁殖を助長してしまうことがあります。
投与開始時にはマラセチア感染がなくても、途中から感染が起こっていることもあり
飲んでいても痒い場合は感染の除外をする必要があります。
アポキルを飲んでいても期待通りの効果が得られない場合…
その皮膚には何らかの感染症が存在するかもしれません。
この子はその後食物アレルギーも見つかり、シャンプーと食事での治療で良好に維持できています😊
飲み薬に頼らない治療は、副作用のリスクも少なく安心ですね✨
症例②シーズー 14歳 去勢雄
いつも痒がっている。
広範囲の脱毛と重度の皮膚の肥厚。
(痒みスコア8/10)
皮膚科検査所見:皮膚スタンプ検査にて大量のマラセチアを検出。
治療プラン:薬用シャンプーと外用薬を処方。
1ヶ月後…痒みスコア5/10に減少🙂
2ヶ月後…痒みスコア2/10に減少。全身に発毛が認められました✨
内服は処方せず、スキンケア(シャンプーと外用薬)を頑張ってもらっただけですが
全身に毛が生えてふわふわになり、若返って見えました😊
痒みからも解放されて、ぐっすり眠れるようにもなりました💤
皮膚の治療は手間がかかることが多いですが、
皮膚は再生できる臓器ですので
条件を整えてあげると綺麗に再生してくれます✨
残った痒みに対しては、アポキル(痒み止め薬)を投与して維持管理しています。
マラセチアなどの感染症をコントロールしてから
アポキルを投与することで、
最小量のお薬で最大限の効果を得ることができ、副作用も少なく抑えることができます。
アポキルが販売されて以来、本当によく効くお薬なので、痒みを抱えた沢山のわんちゃんが飲んでいらっしゃると思います。
でも、『ちゃんと飲んでいるのに痒みが続いていているなぁ。。』とお困りの際はご相談ください。
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